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2007年6月15日 大阪フィルハーモニー交響楽団
第409回定期演奏会(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

フォーレ  レクイエム op.48
ブラームス  交響曲第4番 ホ短調 op.98


演奏者(指揮者・ソリスト)

ソプラノ: 中嶋彰子
バリトン: 三浦 剛
代役指揮: 三浦宣明(フォーレ)
代役指揮: なし(ブラームス)※長原幸太の弾き振り

感想・短評

大植さんによる人気公演。私自身もフォーレとブラームスが聴けるので楽しみにしていた。それがとんでもないことになるとは誰が予測できようか・・・ 大植さんが昨日のリハーサル中に倒れたのだ。そのまま病院に直行となったため、昨日の定期演奏会だけでなく、今日も指揮台に立つことはできなかった。本番当日になってからの出来事なので代役指揮を立てることができない。おまけにチケット完売の人気公演だ。さぁ、どうする、大フィル?!

1曲目は幸いにも合唱曲であったため、合唱指揮者の三浦さんがそのまま指揮台にあがった。これは幸運だったのだが、そこは合唱指揮、オーケストラを操るまでには至っていませんでした。しかし、大植さんがいないとここまでテンション緩いのか? 良く言えば、力みがなく控えめなのだが、悪くいえば、おしなべて変化がなく退屈な演奏。レクイエムには必要ないんだけど、合唱に「元気」がなかった。おまけにオーケストラと合唱のタイミングが大きくズレてしまうところが多かった。それだけに、ソリストの働きが目立った曲だった。

後半は、指揮者なしを逃れられないブラームスのシンフォニー。しかし、大フィルはやってのけました。指揮者なしの交響曲をフルオケで。。。指揮者なしといっても、実質はコンサートマスターの長原さんが交響曲の弾き振りをするという前代未聞の演奏が幕を開けた! やはり指揮者なしには無理があるようで、とてもぎこちがない。オケのメンバーも長原さんを注視しながら演奏。コンマス、オケ、聴衆、お互いが微妙な緊張感を持った雰囲気がホールを支配する様は筆舌に尽くしがたいものでした。第1楽章が終わったときに、会場からは自然と拍手が沸き起こりました。

第2楽章以降は充実した演奏が繰り広げられた。特に明るい第3楽章はテンポも良いため、各パートが自発的にオケを推進させていた感がある。長原さんの弾き振りも激しさを増し、第4楽章に至っては、ヴァイオリンの音色や音量を無視したかのようなダイナミックな姿だった。フィナーレは指揮者がいないことすら忘れさせるほどの白熱した演奏で、会場は一気に熱狂に包まれた。

大きなトラブルに見舞われた演奏会だったが、2度と体験できないような貴重な演奏会でもあった。長原さんという名実ともにヒーローがいたからこそ成しえたとも言える一期一会の演奏に、非常に満足したのでありました。

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