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2006年5月11日 京都市交響楽団
第488回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト  交響曲第36番「リンツ」
ショスタコーヴィチ  交響曲第7番「レニングラード」


演奏者(指揮者・ソリスト)

指揮: ドミトリー・キタエンコ

感想・短評

いつも意欲的な大曲をプログラムしている京響だが、相変わらず人の入りが良くない。今日も6〜7割ほど。実力もあるし、プログラムもいいし、今日は客演指揮者も来ているというのに、もっと人が入ってほしいんだが。

今日の指揮者はロシアを代表する巨匠キタエンコ氏。1993年にフランクフルト放送交響楽団との競演を聴いて以来、実に13年ぶりに生演奏を聴くことになる。特にショスタコーヴィチは地物ということもあり期待度は高い。キタエンコ氏特有のスケールの大きな演奏にも注目なのだ。

今回のプログラムは、今年の2人の記念年にちなんだもの。いうまでもないが、モーツァルト生誕250年、ショスタコーヴィチ生誕100年だ。おまけにどちらも地名付きの曲を選んでいるところも憎い演出?! 最初のモーツァルトはキタエンコ氏らしくゆっくりとしたペース。過度なテンポの変化はなく、全体的にやや退屈な演奏。弦楽器が多いせいもあるのか、モーツァルトらしい軽快感はなく、モッタリとした感じで機敏性に欠けていた。木管、金管ともに特徴もなく、あまり捉えどころのない演奏だった気がする。重厚な感じを色濃くした演奏でした。

さて後半は一変してショスタコーヴィチ。この曲は「戦争交響曲」ともいわれるほど激しいものなのだが、キタエンコ氏が振ると、なぜか緊迫感は感じられず、どこか牧歌的な表情さえ感じられるほどだった。テンポが遅いためか? そうだとしたら余計に不気味で重苦しくなるはず。。。7番はメロディが美しいのでこういう演奏もありなのかも。特にそう思ったのが、第1楽章最大の見せ場となるボレロ風の戦争テーマ。忍び寄る戦乱はなく、徐々ににぎやかになっていく純音楽だった。最頂点に至っても、ホールが割れんばかりの大音響にはならず、幾分抑え気味になっていた。これらもキタエンコ氏の指示なのだろうか? 遅いテンポが逆に京響にとっては窮屈になっていただけなのだろうか? 曲の解釈はともあれ、相変わらず木管、金管は素晴らしく上手い。特に金管の伸びのある音は最強音においても美しく響いていた。

それに比べて、第3楽章の美しい弦楽器によるユニゾンはちょっともの足らなかった。京響の少し冷たい音色にはピッタリの旋律なのだが、この部分だけはなぜかテンポが早めに設定されており、あっさりとさせていた。第4楽章は最もテンポの変化が大きく、曲の最後はこれまでに聴いたことがないほど壮大なスケールを持って引っ張り気味に曲を閉じた。あれだけでも観客はブラボーである。

テンポが遅かった割りにはあっさりとした解釈だった「レニングラード」。8年前にルドルフ・バルシャイ氏の指揮で聴いた京響の「レニングラード」ほど印象に残る演奏ではなかったものの、別の側面でショスタコーヴィチを聴くことができて面白かった。

【余談】 終演後はキタエンコ氏にサインをもらいに行ったが、団員よりも早いくらいに出てきたのには驚いた。急いでいたのであろうか? 気さくにも全員のサインに応じてくれていたけど。そして、いつものように小谷口さんを待っていたが、キタエンコ氏とは逆に一番最後に出てきた! いろいろ演奏のことやクラリネットのことを毎回教えてもらって本当に感謝ですm(_ _)m

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