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2006年12月7日 京都市交響楽団
第495回定期演奏会(京都コンサートホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト  ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
ベルリオーズ  幻想交響曲 op.14a


演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ: 河村 尚子
指揮: 小林 研一郎

感想・短評

今日の演奏会は仕事の都合で行けないものと諦めていた。しかし、何とか時間がとれそうだったので電車を乗り継ぎ、5分前に会場に到着。ほんと「よっしゃ」と思いました(笑)。ホールに入ると、平日の演奏会というのに会場はかなりのお客さん。このところ京響の定演はお客さんの入りが良い。もちろん注目のソリストや指揮者が登場するからということもあるのだろうが、京響自体のレベルが上がってきていることも理由と考えたい。

さて、1曲目は久々のモーツァルトのピアノコンチェルト。河村さんは先日のミュンヘン国際コンクールで第2位に入るなど、新進気鋭のピアニストであり、凱旋公演となる今日の演奏は注目度は高かい(外人やスーツ姿の会社関係者が観客に多かったのもそのせい?)。演奏は芯の太いがっちりしたモーツァルト。それ故に軽やかさや流れるような楽しさはなかった(そもそもモーツァルトには珍しい短調の曲だから仕方ないか・・・)。ピアノはしっかり鳴っているんだから、オケも同じようにしっかり鳴らして欲しいところだった。全体的に手堅くまとめられたモーツァルトといった感じでした。アンコールで、モーツァルトのピアノソナタ第18番 K.570 より第3楽章も演奏された。

今日は無理して聴きに来たのはコバケンの幻想を聴くため。あと、クラリネットの活躍を楽しむため。この2点に尽きる。演奏の方はその期待を大きく上回るものだった。第1楽章から何かが起きそうな気配がプンプン。テンポはごく一般的なのだが、強弱の付け方がOn-Offしっかりしていて面白い。特にコントラバスを始めとする低弦のデフォルメは耳を疑ったほど。

第2楽章は“舞踏会らしい”ありふれた優雅さはなく、音楽的に聴き所満載の楽章だった。特に最後のクラリネットによる二重奏はシビレた。第3楽章は最も退屈する楽章だけに、ここを聴かせられればその演奏は成功となる。もちろん今日の演奏は「成功」だ。その立役者は抜群に上手かったコールアングレ。またそれに呼応するオーボエはホール後方に配置するなど、演出面でも楽しいものがあった。コールアングレのみならず、フルートもクラリネットも、女性陣による融和したハーモニーは殺風景なはずの「野の風景」を「実り豊かな大地」へと変貌させていくれたようだった。

圧巻は幻想の世界に陥ってしまった第4楽章以降。凶暴ともいうべき、京響のかみつくような演奏はスゴかったです。ただ粗いだけの演奏ではなく、金管の輝きといい、弦楽器の機動力といい、理想的な幻想交響曲の演奏はこういうモノをいうのだと教えてくれたようなコバケンの指揮でした。普段意識したことのなかった、徐々に強打していく鐘の鳴らし方も意味深げ。しかし、何度見てもヤカンと見間違ってしまった真鍮色の鐘・・・。そしてビックリしたのは第4楽章最後の狂ったようなクラリネット。そう、この楽章は「断頭台への行進」。そのシチュエーションが見事に表現された瞬間でした。

終楽章もクラリネットの妙技で始まる。小谷口さんはSクラに持ち替えての演奏。良く指が回っていて、ほぼ完璧といっていい演奏でした(4年前の京響の演奏ではレーニがちょっと外してしまって惜しい思いをした記憶が思い出されました)。どんどん加熱し狂乱していくオケ。“炎のコバケン”といわれる由縁が本当によく分かる演奏でした。最後はお祭り騒ぎのように最高潮にて曲を締めくくった。コバケンファンなのか?本当に熱狂した観客なのか?大喝采でした。まぁそれだけ充実した面白い演奏内容でした。いつものようにコバケンは客席に向かってしゃべり出し、おまけとして終楽章の終結部分だけアンコール演奏してくれた。

おそらく今年最後の演奏会。最高の形で締めくくることができて本当に良い1年でした。来年も京響始めいろいろ行きますよぉ。

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