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コンサート名・公演名

2007年11月3日 フランス国立リヨン管弦楽団
(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲
ラヴェル/ピアノ協奏曲
細川俊夫/循環する海(2005年作曲・日本初演)
ムソルグスキー(ラヴェル編)/組曲「展覧会の絵」




演奏者(指揮者・ソリスト)

ピアノ:ジャン・フレデリック
指揮:準・メルクル

感想・短評

実に8年ぶりのリヨン管弦楽団。前回は二流オケだと思ってナメてかかったために、あまりのフランス的なオケの響きに驚いた記憶が新しい。今回はそれだけに楽しみな演奏会の1つだった。しかし、やはり二流オケと考えている人が未だに多いのか? それとも大阪人のクラシックへの興味が薄れているのか? 先日のカール・ライスター・リサイタル同様に客入りは悪い。2階席はガラガラといっても過言ではないほど。。。この惨状を見ると大阪での公演が少なくなっているのも頷けるなぁ。

そんなことはさておき、自分は思いっきりフランスの薫りを堪能しました。1曲目からいきなり鳥肌モノの爽演が炸裂!フルートソロは少し影のある地味な音色で、それに続くホルンは抜群の柔らかさ。弦楽器が入ってからはフランス音楽の色彩がホールいっぱいに広がった。久々にオーケストラ音楽の色彩感を味わった気がする。決して派手ではないが、落ち着いた美しさ満点だった。この響きは日本のオケではさすがに聴くことができないものだ。

次のピアノ協奏曲も同様の美しさ。ガーゼ1枚でフィルターしたかのように雑味が除かれた美しさ。こんなエレガントなピアノ協奏曲は滅多に聴けない。フレデリックはジャズ調を前面に押し出したノリの良いキビキビとした弾き方がGood。第2楽章は非常に安定感のあるピアノソロだったが、次曲(細川さんの曲)で使う風鈴が空調の風でチリチリと音を放ち、とても和風で風流さを感じた(笑)。それは冗談として、ホールマネージャーの失態でしょ、これは。第3楽章の複雑で速いパッセージの連続も決して勢いに任せず、格調の高い演奏だった。メルクルのスピーディでスマートな指揮は見ていても気持ちよかった。

ピアノのアンコールは、ラヴェル/なき王女のためのパヴァーヌ。風鈴の音色に乗せて、心優しくなる演奏でした。

後半は、今日が日本初演となる「循環する海」。曲そのものはシンメトリックな構成となっていたようだが、「海」というだけあって、その情景が目に浮かぶような環境音楽だった。弦楽器の奏法がおもしろかったり、おびただしい打楽器があったりと、演奏会向けな曲だなぁと思った。

最後は、「展覧会の絵」。この曲はこれまでにも何度も聴いてきているが、いずれの場合もいい演奏が多い。それぞれの個性が際だつ曲だと言える。今日の演奏もメルクルとリヨン管の個性が出た演奏だったのではないかと思う。決して勢いと音量を売り物にしない誠実な演奏。ややもすると、もの足らなさを感じるかもしれない。でも、各パートのソロをじっくり聴いていると、いい働きしてました。印象に残ったのはサックスとチューバ。非常にうまかったです。

アンコールは1曲。ドビュッシー/「子どもの領分」より第6曲「ゴリウォッグのケークウォーク」。軽快な曲でサッパリと締めてくれました。ちょっと前半の出来が良すぎたので、後半はモノ足らなく感じたが、フランスらしい薫り高い演奏に満足のいく演奏会だったと思います。

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