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2006年7月31日 PMFオーケストラ
パシフィック・ミュージック・フェスティバル2006 大阪公演(ザ・シンフォニーホール)

演奏曲目および評価

モーツァルト  ファゴット協奏曲
ストラヴィンスキー  バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
チャイコフスキー  交響曲第5番



演奏者(指揮者・ソリスト)

ファゴット: ダニエル・マツカワ
指揮: ワレリー・ゲルギエフ

感想・短評

ゲルギエフの登場ということで、さぞかし会場は満員か・・・と思いきや、意外にも席が埋まらず、開演時には7割くらいだっただろうか? 最終的には9割近く埋まっていたけど、大阪での演奏会が最近減っている様子を垣間見た感じで複雑な心境だった(このところウィーン・フィルもベルリン・フィルもシンフォニーホールはおろか、大阪を避ける状況が続いているから・・・)。

さて、そんな心配はさておき、穏やかなモーツァルトから始まった。比較的テンポは遅めで「まじめ」な演奏。あまり遊び心もなく、平坦な感じがした。第2楽章は木管と弦楽器の絶妙のアンサンブルが心地よかった。ソリストはフィラデルフィア管弦楽団の首席で、PMF出身かつ現講師のダニエル・マツカワ氏。非常に内にこもったような柔らかなファゴットの響きは魅力的だった。演奏としてはあまり印象に残るものではなかった。。。

2曲目は「ペトルーシュカ」。曲が複雑で難曲な上、ゲルギエフの起伏に富んだ指揮のためにアンサンブルは乱れがち。それ故のスリリングさが実に曲を面白くしていた。しかし、よくオケは食らい付いていったと感心しました。全体としてはギクシャク感があったものの、各個人はスーパープレイを連発。特に、トランペット、フルート、クラリネット、ファゴットの活躍は素晴らしく光り輝いていました。ティンパニは珍しく女性(日本人)だったが、シャープでズシンと響いていてこちらも良かったです。しかし、ゲルギエフの指揮は分かりやすいのか? 分かりにくくてエキサイティングに
なっていたのだろうか? 個人が目立って面白い演奏でした。

実は全く期待していなかったのはチャイコフスキー。聞き飽きたし、5番にはあまり魅力を感じていないし。その思いを一気に吹き飛ばした迫真の演奏だった。PMFオケの若さゆえの不完全さと、ゲルギエフの百戦錬磨の手腕が組み合わさった実に面白い内容だった。昨年のPMFオケも同じ状況だったけど、どうしても先に進もうと急ぎ気味になるオケをコントロールする指揮者。押さえつけるというよりは、自主性を尊重していた分、スリリングな展開が繰り広げられたように感じた。第2楽章と第4楽章は凄まじいほどの緊迫感をもたらす演奏だった。第2楽章後半部の静寂の後の弦楽器によるフレーズはあまりにも美しくて身震いしてしまった。張り詰めた状況の中のメロディは効果的ですね〜。惜しむらくは木管奏者が「ペトルーシュカ」の時とはメンバーが異なっており、あまり好みではなかったということか。第4楽章は異様に速いスピードで始まるほど、もう誰も止められない猪突猛進状態。ここまで白熱したチャイコフスキーは今後聞くことはないだろう。ゲルギエフも珍しく体力的に消耗していたようで、動きも鈍り気味だったが、フィナーレに向けてどんどんスピードが加速。最後の方は金管も追いついていなかったけど、熱狂の幕切れで会場内は拍手喝采でした。

若さとゲルギエフ。この組み合わせは想像つかないことを生み出すようです。ゲルギエフの解釈は独創的なのにウソっぽく聞こえないところがホント凄いです。指揮中、ゲルギエフの横顔がカラヤンかチェリビダッケに見えてしまうときがあった。それほどの巨匠だということですよね。。。

しかし、よく聴き直すと木管には非常においしい曲ですね。5番は。冒頭からクラリネットが主題を歌いまくるので、思わずやってみたくなりました(^^;

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