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2007年7月28日 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2007「魔笛」
(兵庫県立芸術文化センター)

演奏曲目および評価

モーツァルト/歌劇「魔笛」(全2幕)KV.620

演奏者(指揮者・ソリスト)

エリック・ハーフヴァーソン(ザラストロ)
ゴードン・ギーツ(タミーノ)
加賀清孝(弁者)
桝貴志(僧侶)
牧川修一(僧侶)
ジェーン・アーチバルド(夜の女王)
マリー・アーネット(パミーナ)
並河寿美(侍女)
南智子(侍女)
浅井美保(侍女)
ヨーゼフ・ワーグナー(パパゲーノ)
鈴木純子(パパゲーナ)
フランソワ・ピオリーノ(モノスタトス)
田中誠(甲冑の兵士)
北川辰彦(甲冑の兵士)

合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
   ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団
演出:エマニュエル・バステ
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
指揮:佐渡裕

感想・短評

昨年の「蝶々夫人」に続く佐渡裕芸術監督プロデュースオペラの第2弾。全公演が完売するほどの大人気公演なのだが、今日はさらに初日ということと、キャストも豪華な日なので何かと楽しみが多い。ロビーではなぜか新たに開発されたオリジナルグッズが山のように売られていた(昨年の「蝶々夫人」でも同じようなことやってた)。気合の入れようは半端ではない。

さて、舞台の方はこれまで見た中では最も大掛かりで、且つユニークなものだった。まず驚いたのは、タミーノが化け物に襲われる一番最初シーン。化け物は兵庫らしく大ダコだったが、驚いたのはそれではなく、なんと舞台上に岩場とともに池を形成していたことだ。それも本物の水で。これはシャングリラかいな。また、パパゲーノがウソをついたことから、ワインではなく水を与えられるシーンでは、舞台天井から大量の水がパパゲーノに向けてかぶせられた。まるでドリフでも見ているかのような豪快な場面だった(笑)。

そんな演出はさておき、前半での最大の聴き所は何といっても夜の女王のアリアだ。アーチバルドのソプラノは文句の付けようがないほど安定していて上手い。この難しいアリアをほぼ問題なくクリアしていたのだから会場からは拍手喝采だ。ザラストロの歌唱力も忘れてはならない。どちらかというと悪者のイメージがあったのだが、威厳のある賢者として堂々たるものでした。今日の主役は陰陽両方の王ですね。逆に、期待ほどではなかったのがパパゲーナ。パパゲーノは良かっただけに、「パパパの二重唱」が欲求不満だった。演技は悪くなかったんですけどね。あと、侍女の3名は非常に奇抜且つ強烈なインパクトで楽しかった反面、怖かったです(笑)。童の3名は要所要所で癒しを与えてくれたのが効果的でした。

そんな出演者を引き立てた舞台の変化も多彩で面白かった。セットとしては大きく3種類を使っていた。
<最初だけに使われた岩場と池のセット>
<シンプルでパースペクティブな大聖堂の中のセット>
<砂漠の砂にまみれたザラストロの書斎のセット>

さらには舞台下から出入りしたり、ゴンドラでパパゲーナが登場したり、最後の合唱は1階観客席の通路を使ったりと、舞台・演出全てにおいてホール全体を活用してました。オペラというよりも大規模な演劇という感じだったです。

良く知られたオペラを面白く演出していた今回の公演は、生で見ることの醍醐味を十分に味わわせてくれたと思う。佐渡さん&PACの演奏は演技を遮ることなく自然体でバックアップしていたので、まずまず良かったのではないでしょうか。

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